3位 「犬がいた季節」伊吹有喜/双葉社
1988年 高校に迷い込んできた白いふわふわの子犬
「コーシロー」と名付けられたその子犬は、
生徒と共に遊び授業を見守り、毎年卒業生を送り出す。
コーシローと高校生の12年間のかけがえのない日々に温かい涙が流れる感動作です。
2位「お探し物は図書室まで」青山美智子/ポプラ社
仕事や人生に迷っている人たちがふと訪れた小さな図書室
そこで風変りな司書「小町さゆり」が薦めてくれるのは、一見悩みとは関係のない一冊。
しかし、この本が彼らの人生に思いもよらない勇気を与えてくれた。
心がほっこりする優しい物語です。
1位「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ/中央公論新社
書評サイト「読書メーター」で1位を獲得するなど、この年末に数々の賞を受賞している、
孤独を強いられてきた女性と虐待されている少年が出会う未来へ一歩ずつ踏み出す感動作です。
「52ヘルツのクジラ」とは、
他のクジラが聞き取れない高い周波数52ヘルツで鳴くクジラのこと。
たくさんの仲間がいるはずなのに、その声は届かない・・・
世界で一番孤独なクジラと言われている。
幼い頃から母親と義理の父から虐待を受けていた「貴湖」は、
東京から逃げるように一人大分の港町へ引っ越してきた。
そんなある日、
貴湖は暗い雰囲気をまとった少年と出会う
その痩せた体には無数のアザ
彼もまた 母から虐待を受け、声を発することができなくなっていた。
孤独を抱え、52ヘルツの声をあげる二人。
少年の様子にかつての自分の姿を重ねた貴湖は、
「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ。」
「だからあんたの、あんたなりの言葉で話しな。全部、受け止めてあげる。」
声をあげようとしてもあげられない少年に貴湖はかつての恩人の存在を明かした
「わたしも、昔52ヘルツの声をあげてた。それは長い間誰にも届かなかったけど、
たったひとり、受け止めてくれるひとがいたんだよ。」
それは親の呪縛から引き離してくれた恩人「岡田安吾」
彼は貴湖を「キナコ」と愛称で呼び、
「第二の人生では、キナコは魂の番(つがい)と出会うよ。(中略)
キナコは、しあわせになれる」
町田さんのもとには、全国の書店員さんから
「涙が止まらなかった・優しく力強い物語」と、多くのメッセージが届いたと言います。
孤独を抱え声なき声をあげている人たちの背中を押す、
彼らが少しずつ前へ歩んでいく今読むべき感動作です。